キリシタン用語(三省堂「大辞林」による)


イルマン [ポルトガル語]
   〔兄弟の意〕一六世紀半ばから一七世紀前半にかけてのキリシタン時代、パードレ(司祭)
	に叙階されない修道士をさす。〔「入満・伊智満・由婁漫」とも書く〕

パードレ または パーデレ [ポルトガル語]
   〔父の意〕神父。

バテレン【伴天連】
   〔ポルトガル語パードレ(師父の意)から〕(1)キリスト教伝来に際して渡来した宣教師・
	司祭。パードレ。
   (2)キリスト教の俗称。「―信者」

オラショ [ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕祈祷。祈り。「善事と―に怠る事なかれ/こんてむつすむん地」

コンヒサン [ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕懺悔。コヒサン。「―を申してきよむべき事もつぱら也/どちりなきり
	したん」

ドチリナ・キリシタン [ポルトガル語]
   〔キリスト教教義の意〕キリシタン版の一。キリスト教の教義書。師と弟子の問答形式で、
	教義が平易な文章で説かれている。ローマ字本と国字本とがある。一五九二年頃と一六
	〇〇年に刊行。

コンテムツス・ムンヂ [ラテン語]
   〔「世を厭う」の意〕キリシタン版の一。キリスト教の修道・教訓の書。「イミタチオ−
	クリスチ(キリストにならいて)」の翻訳。一五九六年刊の全訳ローマ字本と一六一◯
	年刊の抄訳国字本とがある。

パライソ[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕天国。楽園。パラダイス。パライゾ。ハライソ。

ナタル[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕降誕祭。

デウス[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕神。天主。天帝。造物主。

ゼンチョ[ポルトガル語]
   キリシタン用語。異端者。異教徒。異端。「エジットノ国ワ―デ/天草本伊曾保」

サンタ・マリア
   イエスの母マリアの尊称。聖母マリア。

サクラメント
   キリストによって定められた神の恩恵を信徒に与える儀式。ギリシア正教では機密、
   ローマ−カトリックでは秘跡と称し、洗礼・堅信・聖餐・ゆるしの秘跡・病者の塗油
   ・叙階・結婚の七つの式がある。プロテスタントでは礼典または聖礼典といい、洗礼
   と聖餐の二儀式とするものが多い。

クルス[ポルトガル語]
   十字。十字架。また、十字架をかたどったもの。

キリシタン[ポルトガル語]
   室町後期にザビエルらによって日本に伝えられたローマ−カトリック系のキリスト教。
   また、その信徒。のち江戸幕府によって信仰・布教を厳禁される。南蛮宗。伴天連バテ
   レン宗。天主教。〔「吉利支丹」「切支丹」とも書く。五代将軍綱吉以後、「吉」の字
   を避けて「切支丹」の字を当てる〕

オンターデ[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕意志。欲望。「三には―とて憎み、愛するにかたぶく精これなり/
    どちりなきりしたん」

インヘルノ[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕地獄。

アンジョ[ポルトガル語]
   〔キリシタン用語〕天使。「もろもろの―、もろもろの善人たちも/こんてむつすむん地」

ガラサ[ポルトガル語]
   キリシタン用語で、神の恩寵。聖寵。

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